投資顧問の業務範囲

金融商品取引法では、同法で定める「金融商品取引業」の4つの区分ごとに規制を定めています。4区分のうち、「第一種金融商品取引業者」と「投資運用業者」は、国民に与える影響が大きい業務を行っていると考えられており、付随業務や兼業が規制されています。一方、「第二種金融商品取引業者」と、投資顧問などの「投資助言・代理業者」には兼業の規制が定められていません。(スナップアップ投資顧問)

1種業者と投資運用業者の業務範囲

付帯業務

まず、第一種金融商品取引業者と投資運用業者は、届出または承認がなくても、以下の付随業務を行うことができます。

  • 有価証券の貸借またはその媒介・代理
  • 金融商品取引法156条の24第1項に規定する信用取引に付随する金銭の貸付け
  • 顧客から保護預りをしている有価証券を担保とする金銭の貸付け(内閣府令で定められているもの)
  • 有価証券に関する顧客の代理
  • 投資信託委託会社の有価証券に関する収益金の支払等の業務の代理
  • 投資法人の有価証券に関する金銭の分配等の業務の代理
  • 累積投資契約の締結(内閣府令で定めるもの)
  • 有価証券に関連する情報の提供や助言
  • 他の金融商品取引業者等の業務の代理
  • 登録投資法人の資産の保管
  • 他の事業者の事業の譲渡、合併等の相談や仲介を行うこと
  • 他の事業者の経営に関する相談に応じること
  • 通貨その他デリバティブ取引に関連する資産の売買や媒介等
  • 譲渡性預金や金銭債権の売買またはその媒介等
  • 特定資産に対する投資としての運用財産の運用等

兼業業務

また、1種業者と投資運用業者は、内閣総理大臣への届出によって、以下の業務(兼業業務)を行うことができます。

  • 商品市場における取引等に係る業務
  • 商品の価格変動等を利用して行う取引として内閣府令で定めるものに関わる業務
  • 貸金業等に関わる業務
  • 宅地建物取引業等に関わる業務
  • 不動産特定共同事業
  • 商品投資等や得られる収益の予測が困難な物品として政令で定めるものの取得等により、他人のために財産の運用を行う業務
  • 有価証券やデリバティブ取引に関する権利以外の資産に対する投資として、運用財産の運用を行う業務
  • その他内閣府令で定める業務

以上に対し、第一種金融商品取引業者と投資運用業者は、上記で列挙した付随業務や兼業業務に該当しない業務を行うには、内閣総理大臣の承認が必要です。

投資顧問に対する兼業規制

一方、2種業者または投資助言・代理業者のみを行う業者に対しては、兼業について特に規制は行われていません。ただし、登録を受けた金融商品取引業以外の業務を行おうとする際には、個別の法律が定める登録・免許などが必要になる場合があります。

投資顧問に関する法律改正の経緯とポイント(スナップアップ)

証券取引法などを大幅改編した「金融商品取引法(略称・金商法)」は2007年9月30日に施行された。 日本の金融・証券・保険・商品マーケットは、新時代を迎えた。 金融商品取引法の趣旨や、投資信託を含むリスク性商品の販売に対する考え方を解説する。(スナップアップ投資顧問)

金融庁は「形式より実質面を重視」

金融商品取引法の狙いは「投資家の保護」「市場機能の発揮」「国際性」の3本柱にあった。 金融庁は、法律の運用に当たり「形式より実質面を重視する」との姿勢を強調した。 新法は、一般投資家の保護を強化する一方で、プロの投資家向け商品の組成やディスクロージャー(情報の開示)については大幅な規制緩和を行った点が特徴だ。 金融庁は施行にあたり「商品の組成やサービス提供の自由度が格段に広がる。この法律を十分に活用して、世界水準の金融サービスを提供してほしい」(総務企画局市場課)と訴えた。

より横断的な法制度

金融商品取引法は、「投資家の保護」を大前提とし、「市場機能が発揮される条件の確保」と「国際性への配慮」と合わせた3つが大きな柱になっている。これらの柱に「横断化と包括化」「重構造化と柔軟化」という2つの考え方を加えることで、法律の構造ができている。

投信をはじめとするリスク性商品の販売に当たっては、法的な形式とか、従来の縦割り型の業態にとらわれずに、横断的に考える。金融庁は、同じような経済的性質を持つものには、同じような規制をして投資家を保護し、マーケット機能の発揮に資するようにしようという発想で取り組んできた。

投信の仲介者や開発者に対応を求める

投信も投資リスクがあり、リターンを期待してリスクを負って投資する商品だ。このため、金融庁は「投資家保護と、金融イノベーション(技術革新)の両立という観点を十分に踏まえた法制度とした。投信の仲介者や開発者には、こうした観点でこれまで以上に対応して欲しい」と説明した。

販売・勧誘でアマチュアへのリスク説明

特に重要なのは、販売・勧誘面の例を挙げれば、投資のアマチュアである一般投資家に販売する際には、十分な説明を行い投資家がリスクを理解して投資することだ。これまでも繰り返し言われていることだが、説明や(その結果得られた)納得性が、販売の現場や会社の販売体制の中で、非常に大切になってくる。「貯蓄から投資へ」という流れを促進するためにも、納得して、十分に商品リスクを踏まえた上で投資を増やしていくことが大事だと考えている。